知的財産本部

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国立高専機構 理事長 挨拶

高専教育の高度化と産学官連携

独立行政法人 国立高等専門学校機構理事長
林 勇二郎

理事長

 最近、高専に対する評価がとみに高まっている。OECDの高等教育視察団が我が国の高専教育の成功を絶賛したのに続いて、中央教育審議会の特別部会は、高い評価に基づいたさらなる振興策を提言している。

 我が国の学校教育は、戦後、リニアシステムと呼ばれる6・3・3・4制をもって教育の機会を拡大し、大学・短大等への進学率が50%を超す高学歴社会を創り出してきた。リニアシステムは、学年進行に伴う初等、中等、高等教育の直線的な接続を意味するが、問題解決のための手法や考え方を理づくめとする学問のあり方、すなわち教育方法にかかわる質的なリニア性をも内包している。

 高専はこのようなシステムに乗りつつも別のトラックを動かしてきた。中学校を卒業した15才の学生は5年一貫の準学士課程を受け、そのうちの約60%が中堅の技術者として社会に輩出される。残りの40%は2年間の専攻科あるいは大学へ編入し、その一部はさらに大学院へと進学する。高専教育はこのように、学生を社会に送り出しながら課程を繋いでいくことで、確かな接続と多様なキャリアパスを整えている。そして、それは座学と実践とを融合することで実現されていると言っても過言ではない。実践は、実験・実習からものづくり、エンジニアデザイン、さらには産学連携によるインターンシップ、COOP教育、共同研究と多様であり、内容と対象を拡大することで造的で実践的な幅広い技術者を育成してきた。

 昭和37年にはじまる高専の設置は、産業界の要望を受けた国の政策であり、高専はこれに応えることで我が国の発展に貢献してきた。まさに強力な産学官連携であり、悪名高い護送船団方式である。にも拘わらず、全国に配置される高専は一定の標準性を維持しつつも個性的であり、何よりも卒業生は高い評価を得ている。ものづくりを中心とした実践教育がさまざまな産業や地域との連携を強め、このことが個性と多様性を引き出してきたと言えよう。

 我が国は今、持続可能な社会を目指しつつ科学技術創造立国を確立しようとしている。社会は、科学・技術・産業・経済・生活・文化などが複雑に連鎖しながら進展している。そして科学技術と産業は、社会のイノベーションに、また持続可能性に、直接に関わっていることを承知しておかねばならない。国立高専機構が第二期中期目標期間を迎え、全国の高専は高度化と個性化を積極的に推進しようとしている。そこでのキーワードの一つは産学連携であることは言うまでもないが、大切なことは、人材の育成において、知の創造において、また技術の開発において、連携が社会に対していかに責任を持ってなされるかである。高専教育の高度化が、責任のある産学官連携によって達成されることを期待したい。