理事長 挨拶
国立高専 校長・事務部長会議開催にあたって
(平成23年度第1回 校長・事務部長会議(6月17日)における開催挨拶より)

理事長
林 勇二郎
国立高専機構の校長・事務部長会議の開催にあたり、はじめに3月11日に発生した東日本大震災でお亡くなりになられた方々のご冥福をお祈り申し上げます。被災地では、今なお、多くの方が困難な生活を送られています。心からのお見舞いを申し上げたいと存じます。
さて今年度は、東日本大震災および福島第一原発の事故を受けて、国・産業界はもちろんのこと教育機関である学においても、厳しい運営が問われることになります。被災した一関、仙台、福島、茨城等の高専においては、これまで大変なご苦労と努力をされましたが、文科省はじめ大学や高専関係者、その他、多くの皆様からのご協力とご支援をいただき、5月の連休明け頃から漸く業務を再開しています。
機構は、夏期の電力需給に向けての節電、公務員の俸給等の減額、機構の運営交付金等々の行方に注視しながらも、震災地域の都市基盤、中小企業、市民の生活の復興復旧、そして将来の安全安心な国土づくりに向けて、高専発の技術シーズと人材を活用すべく全力を挙げねばなりません。さらに、このような時期であるからこそ、高専は将来のあるべき姿について考え、それに向けた行動が求められています。科学技術の発展と人材育成に多大な貢献をしてきた高専ですが、地球の持続可能性にかかる人間社会と自然の不調和への関与については必ずしも否定できませんし、このことは3月11日の大震災が我々に与えた大きなメッセージであったとも言えます。
本年、高専は制度創設50周年を迎えます。国の高等教育をあずかる機構として、次なる50年を見据えた改革を進めているところですが、高専の使命は実践と創造性のある幅広い高度技術者を養成し、産業界の要望に応えていくことに変わりはありません。そのためにも、創設の原点である"社会のための高専"に立ち帰り、同時に、東南アジア地域の高専アカデミアのリーダーとして、人類と科学技術に責任をもつ技術者の育成に努めねばなりません。我が国は科学技術立国を標榜し、人類が直面している課題、国際間で協調すべき課題、グリーンイノベーションやライフイノベーションに国を挙げて取り組んでいますが、そこで果たすべきは自らの責任であり、それに向けた行動こそ大切であるはずです。
福島第一原子力発電所では、高専卒を含む多くの技術者が熾烈な戦いを続けています。現場と実践に強い技術者、責任感のあるこのような高専生は、国内外の各地で活躍しています。高専の来し方は、まさにこのような卒業生を輩出してきた50年と言えましょうが、これからは責任と行動が正当に評価される技術者を育成しなければなりませんし、これが機構としての責務であるはずです。
5月には51高専のヒアリングを実施しましたが、機構の掲げる重点課題に向けて、各高専が鋭意に取り組んでいることを実感いたしました。改革のために何を変え、何を変えないのか。それに対して、個々の高専が、そして機構がどのようにかかわるのか。そこには高邁な意識と確かな役割が求められます。本日の会議においてもどうかご協力をいただき、成果があがることを期待し、開会の挨拶といたします。


