平成24年2月16日
独立行政法人国立高等専門学校機構

東京工業高等専門学校における公的研究費等の不正使用に関する調査結果について


1 経緯
 独立行政法人国立高等専門学校機構(以下「当機構」という。)では、東京工業高等専門学校(以下「東京高専」という。)の特定の教員と特定業者との間における研究費の不正使用の疑いについて、外部からの指摘及びその疑いの事実を示す「預り金明細書」の情報提供があった。


2 対応
 上記の情報に基づき、東京高専に「研究費等の不正使用に関する予備調査委員会」(以下「予備調査委員会」という。)を設置した。
 予備調査委員会では、東京高専保存の会計書類及び当該業者提供の伝票類並びに東京高専の関係教職員からの事情聴取に基づき、予備調査を行った結果、指摘内容の一部に合理性が認められる旨の予備調査結果報告書が提出された。
 この予備調査結果報告書を受け、ただちに理事長に報告するとともに、理事長の下に外部委員を含めた「公的研究費等の不正使用に関する調査委員会」(以下「本調査委員会」という。)を設置し、調査を行ってきたところである。


3 調査結果の概要
 予備調査委員会の予備調査結果報告書の提出を受け、本調査委員会では東京高専保存の書類、当該業者提供の伝票類など関係書類の調査や関係者に対するヒアリング等を集中的に行いつつ、専門的見地からの審議・検討を重ねながら、以下の結論を得た。
(1)預け金等の有無について【有】
 平成15年頃から平成22年まで、東京高専の准教授1名が取引先の担当者と事前に共謀の上、虚偽の伝票等により、学校の公的な資金の支出を行い、いわゆる「預け金」及び「品名詐称」の取引を行っていた。
  ・預け金等に関与した教職員 1名(東京高専 准教授)
  ・預け金等に関与した取引先 1社(科学機器・器具等販売業者)
  ・預け金等により支出した研究費等の額 5,542,490円
 なお、これらの取引による公的研究費等の私的流用の事実は確認できなかった。

(2)預け金等を行うに至った背景
 当該教員は、多くの業務を抱え多忙であったことから、可能な限り効率的に業務を遂行したいと考えていたが、取引業者から正式な契約手続きではない「預け金」という方法があるということを聞き、不適切な会計処理であるということを深く認識しないまま進めてしまった。

(3)当機構会計関連規則への違反について
 品名、数量等の虚偽記載による預け金等の行為及びその預け金等を使用し物品購入等に支出していた行為は、当機構における会計関連規則に違反するものである。

(4)不適切な会計手続きにより支出した経費の取扱いについて
 預け金等により支出した研究費等の額5,542,490円のうち、東京高専における教育研究用として適切な手続きを経ていれば支出が可能であったと認められる相当額2,698,207円については、返納を求める必要はないと判断した。一方、東京高専における教育研究用途であったとしても、当該業者の伝票上の品名が詳細に記載されていないもの、会計規則等に違反しているものと認められる相当額2,844,283円については、当該教員に対し返納を求めるのが適当と判断した。 

(5)全校調査・追加調査の結果について
 文部科学省からの通知に基づく全校調査及び今回東京高専において実施した追加調査において、該当教員は該当業者との取引以外には、預け金等の新たな事案は確認されず、また、該当教員以外の該当業者との取引においても、同様に預け金等の新たな事案は確認されなかった。


4 調査体制(平成23年9月26日 本調査委員会設置)
 公平かつ透明性のある調査を実施するため、本調査委員会は外部委員及び内部委員から構成され、外部委員は専門家2名(弁護士1名、公認会計士1名)、内部委員は当機構理事、本部事務局長、本部事務局財務課長及び東京高専校長の4名の計6名の構成とした。

  委員長  木 谷 雅 人 (独立行政法人国立高等専門学校機構 理事)
  委 員  後 藤 宏 平 (独立行政法人国立高等専門学校機構 本部事務局長)
  委 員  鹿 又 仁 郎 (独立行政法人国立高等専門学校機構 本部財務課長)
  委 員  古 屋 一 仁 (東京工業高等専門学校長)
  委 員  木 村 美 隆 (田中・木村法律事務所 弁護士)
  委 員  横見瀬 春 樹 (横見瀬公認会計士事務所 公認会計士)


5 調査委員会の開催状況等
   平成23年 8月22日(月)〔外部から研究費等の不正使用の疑いの指摘〕

   平成23年 8月23日(火)〔予備調査委員会の設置〕
   平成23年 9月22日(木)〔予備調査結果報告書の提出〕

   平成23年 9月26日(月)〔本調査委員会の設置〕
   平成23年10月12日(水)〔予備調査結果報告書の確認〕
   平成23年11月11日(金)〔追加収集資料の精査〕
   平成23年11月22日(火)〔対象教員からの事情聴取〕
   平成23年12月 6日(火)〔審議〕
   平成24年 2月13日(月)〔審議〕


6 研究費等の返還及び関係者の処分
(1)研究費等の返還
 調査結果を各資金交付元へ報告し、資金交付元の指示に従い、返還等が必要な場合は、速やかに適切な手続きを行う。なお、本事案については私的流用が認められなかったものの、当該教員から、不適切な手続きによる支出であったことを深く反省し、返還するとの意思が示されていることから、前述の調査委員会の判断を踏まえ、現在、返還手続を進めている。

(2)関係者の処分
 該当教員については、「独立行政法人国立高等専門学校機構教職員就業規則」、「独立行政法人国立高等専門学校機構教職員懲戒規則」に基づき、平成24年2月16日に以下のとおり処分を行った。
 ・職名:准教授
 ・所属:東京工業高等専門学校
 ・処分(決定日):停職1月(H24.2.16)


7 再発防止の取組
 調査で明らかとなった問題点を踏まえ、公的研究費等の不正使用を繰り返さないために、①研究費使用に関する意識改革、②納品検収体制の充実、③監査体制の強化を柱とし、これらと合せて、④会計事務組織の充実、⑤取引業者への対応等、再発防止に向けた取組を行う。
【不正使用の再発防止策】
(1)研究費使用に関する意識改革
 マニュアル等を整備するとともに、法令等の遵守、不正使用に関する再発防止策などの統一的な内容の研修を開催し出席を義務づけることにより、全教職員が共通の認識のもと教職員の法令等遵守、倫理観の向上と使用ルールの徹底を図る。
 また、公的研究費に関する包括的な誓約書の提出を義務付け、意識啓発を図る。

(2)納品検収体制の充実
 教員への直接納品が禁止されていること及び契約担当職員が現物を照合した上で検収印を押印することなどを周知徹底し、厳格な検収を実施する。
 また、業者による納品書等の書き換えを防止するために、手書きの納品書等の受理に留意するとともに、職員による物品受領の記録の明確化を図る。

(3)監査体制の強化
 監査体制の充実のため、新たに設置された監査室(H22.5.10)は、各高専と連携して年間を通じた財務会計に関する実効性のある監査と指導を行う。
 また、財務会計システムにより少額多数の取引等のモニタリングを行うとともに、高専間相互監査等において、納品物品の現認等により厳正な監査を行う。

(4)会計事務組織の充実
 会計規則等をはじめとする当機構のルールや契約方法の見直しに伴い、これらを確実に実行するために会計事務組織を充実させる。
 また、会計事務担当者のスキルアップを図るために、定期的に法人内又はそれぞれの高専で職員研修を実施するとともに、当該研修への積極的な参加を促す。

(5)取引業者への対応
 不正に関与した取引業者に対しては,当機構のルールにより厳正な処分・対応を行うとともに、毎年度,主な取引業者の債権・債務額の突合を行う。
 また、取引業者へ改訂後の研究費使用マニュアルを配付するなど,会計規則等をはじめとするルールや再発防止策について周知徹底する。

理事長コメント


 この度、東京工業高等専門学校における公的研究費等の不正使用に関する調査の結果、運営費交付金をはじめとする研究費の不適切な使用の全容が明らかになりました。

 当機構では、平成16年度の法人化以降、関係規則等の整備や教職員の意識啓発を行うなど、公的研究費等の適切な執行に取り組んでまいりましたが、このような事態を招いたことは極めて遺憾であり、国民の皆様並びに関係機関に対し深くお詫び申し上げます。

 公的研究費等の不適切な処理は、全国の国立高等専門学校を含めた当機構の信用を著しく損なうだけでなく、我が国の科学研究振興体制そのものを揺るがしかねないということを今一度、当機構構成員の一人一人が強く自覚し、今後、このような事態が二度と生じないよう法人を挙げて再発防止に取り組み、信頼回復に努めて参る所存です。

独立行政法人 国立高等専門学校機構       
理事長 林 勇二郎    
 
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