機構からのお知らせ(平成26年3月28日)


公的研究費等の不適正な経理処理について

 昨年11月に公表された「平成24年度決算検査報告」に掲記された国立高等専門学校機構に対する不適正な会計経理のうち、特に、公的研究費等の不正使用に該当する事案(預け金及び差替え)については、高専機構内に調査委員会を設置し、鋭意調査を進めてまいりました。

 このたび、当該調査委員会の調査の結果、会計検査院から指摘のあった東京工業高等専門学校及び秋田工業高等専門学校における、運営費交付金を初めとする研究費の不適正な会計経理の状況が明らかになりました。
詳細については、別掲「公的研究費等の不正使用に関する調査結果について」を参照願います。

 当機構では、平成16年度の法人化以降、公的研究費等の適切な執行に取り組んでまいりましたが、平成23年度に判明した東京工業高等専門学校における研究費の不適正経理(預け金)と同様の事案が判明したことは、極めて遺憾であり、事の重大さを重く受け止めております。
 また、このような事態を招いたことに対しまして国民の皆様並びに関係機関に対し深くお詫び申し上げます。

 当機構としては、平成23年度末に策定した再発防止策の確実な実施を各高専に対して、あらためて徹底を図るとともに、各高専における取組状況等を確実に把握することによって、適正な会計処理を行ってまいるとともに、今後、同様の事例を繰り返すことのないよう、法人全体で全力を挙げて、信頼回復に努めて参る所存です。

 なお、現在、全高専において、自主的な内部調査を実施しており、その調査結果の状況につきましては、あらためてご報告申し上げます。


                             平成26年3月
                              独立行政法人国立高等専門学校機構
                                 理事長    小 畑 秀 文





公的研究費等の不正使用に関する調査結果について


【概 要】
 「平成24年度決算検査報告」に掲記された国立高等専門学校機構(以下「高専機構」という。)に対する不適正な会計経理のうち「預け金」及び「差替え」については、公的研究費等の不正使用にあたるため、指摘を受けた東京工業高等専門学校(以下「東京高専」という。)及び秋田工業高等専門学校(以下「秋田高専」という。)からの予備調査結果報告書、関係書類の精査及び一部の関係教職員からの事情聴取に基づき調査を行った結果、総額8,513,670円の不適正な会計経理があったことを高専機構に設置した本調査委員会として認定いたしました。 なお、私的流用の事実は認められませんでした。


【Ⅰ経緯】

 平成24年3月から平成25年6月までの間、18国立高等専門学校(以下「高専」という。)に対して会計検査院による会計実地検査が行われた。
 その結果、18高専において不適正な会計経理の事態が判明し、特に、公的研究費等の不正使用にあたる「預け金」及び「差替え」の指摘を受けた東京高専及び秋田高専では、「公的研究費等の不正使用に係る調査委員会」(以下「予備調査委員会」という。)を設置し、各予備調査委員会において、高専保存の会計書類及び業者提供の伝票類の確認並びに関係教職員に対する事情聴取に基づき調査した結果、その内容に合理性及び蓋然性があることから、高専機構に外部委員を含めた「公的研究費等の不正使用に関する調査委員会」(以下「本委員会」という。)を設置し、調査を実施した。

  注(1)「預け金」:業者に架空取引を指示し、契約した物品が納入されていないのに納入されたなどとして
          代金を支払い、その支払金を当該業者に管理させるもの。
  注(2)「差替え」:業者から実際に納品を受ける物品に対する支払いのために、業者に指示してその物品と
          は別の物品が納入されたなどとして代金の請求をさせて、その支払いをなしているもの。


【Ⅱ調査委員会での審議状況】

 本調査委員会では、次のとおり、予備調査結果報告書、関係書類の精査及び一部の関係教職員からの事情聴取等の調査審議を行った。

平成25年 7月30日 [東京高専予備調査委員会設置]
平成25年 8月23日 [秋田高専予備調査委員会設置]
平成25年11月19日 [秋田高専予備調査結果報告書の提出]
平成25年11月20日 [東京高専予備調査結果報告書の提出]
平成25年11月29日 [調査委員会の設置]
            [第1回開催:予備調査結果報告書の確認]
平成25年12月 4日 [第2回開催:対象教員(預け金)からの事情聴取及び審議]
平成25年12月 9日 [第3回開催:審議]
平成25年12月25日 [第4回開催:審議]
平成26年 1月16日 [第5回開催:審議]
平成26年 1月30日 [第6回開催:審議]
平成26年 3月26日 [第7回開催:審議]


【Ⅲ調査結果の概要】

1 不適正な会計経理があったと認定した教職員:27名(東京高専 4名、秋田高専 23名)

2 不適正な会計経理に関与した取引業者     5社

      東京高専関係:科学機器等販売業者(2社)
      秋田高専関係:理化学機器・分析機器等販売業者、オフィス用品販売業者、
             電子計測器・通信機器販売業者

3 不適正な会計経理として認定した金額   8,513,670円

財源別内訳

4 不適正な会計経理の内容については、以下のとおり。

(1) 平成16年頃から平成20年まで東京高専の准教授1名が取引先の担当者と互いに了解の上、虚偽の伝票等により学校の公的な資金を支出し、いわゆる「預け金」として業者に管理させて、それに関する取引を平成22年まで行っていた。
   ・預け金に関与していた取引先:            1社(科学機器等販売業者)
   ・預け金により支出した研究費等の額: 7,030,853円
なお、これらの取引による使途は、すべて教育研究に使用しており、私的流用の事実は認められなかった。
また、過去2回(平成20、23年度)、全教職員及び取引業者を対象とした預け金等の調査を実施してい
るが、当該准教授は2回とも預け金をしていない旨の回答をしていた。

(2)平成21年度から平成23年度まで東京高専の職員3名と取引先の担当者と互いに了解の上、伝票上の品名を偽り、契約した物品と異なる物品が納入されたにもかかわらず、契約した物品が納入されたとして代金を支払っていた取引を行っていた。
   ・差替えにより支出した研究費等の額:   418,181円
 なお、差替えを行ったすべての取引は、会計上の知識不足、事務処理上のミスなど安易に不適切な会計処理を行ってしまったものである。
 また、高専関係者及び取引先の担当者から聞き取りした結果、提供を受けた売掛帳にある物品が、現にすべて教育研究用に使用されていたことが確認されたため、私的流用した事実はないものと判断した。

(3)平成19年度から平成22年度まで秋田高専の教職員23名と取引先の担当者と互いに了解の上、伝票上の品名を偽り、契約した物品と異なる物品が納入されたにもかかわらず、契約した物品が納入されたとして代金を支払っていた取引を行っていた。
   ・差替えにより支出した研究費等の額: 1,064,636円
   ・差替えを行った取引の主な形態は、以下のとおり。
   1)当時の当該高専における会計処理ルールとして、学校運営費等の公費での
    購入を認めていなかったもの及び業者が会計担当から私的利用との誤解を生
    じさせないように主導的に行ったもの
   2)複数の学校予算等から購入しようとしたもの
   3)会計事務手続を簡略するために行ったもの

 なお、秋田高専では、法人化以前より、10万円未満の物品等の購入等については教員発注を認めていたこと、また、会計担当による物品の納品検収体制が構築されていなかったことが差替えとなった主な要因であると判断した。
 また、差替えにより購入した物品は、すべて教育研究に使用されており、現在も使用済みの消耗品以外は研究室等に保管されていたことから、私的流用の事実はないものと判断した。

5 不適切な会計経理により支出した経費の取扱いについて

(1)東京高専における預け金等により支出した総額7,449,034円のうち、科学研究費補助金及び外部機関から使途を特定されている受託事業等収入の合計額6,600,192円については、東京高専が国等に返還を行うべきものである。

(2)秋田高専における差替えにより支出した総額1,064,636円は、上記4(3)のとおり、すべて教育研究用に使用されたものであり、このうち、科学研究費補助金93,493円及び外部機関から使途を特定されている受託事業等収入 124,587円のうち秋田県からの受託事業等収入 119,677円の合計額213,170円は、秋田高専が国等に返還を行うべきものである。

 上記(1)及び(2)において認定した研究費等の返還にあたっては、本委員会の調査結果について国等の資金交付元機関へ報告を行った上で、交付元機関からの指示に従い、適切かつ速やかに返還手続等を行うものとする。

【Ⅳ 再発防止策の取組】

 本委員会における調査において明らかとなった問題点は、以下のように集約される。

1 公的研究費に対する教職員の意識の欠如

(1)不定期に機会を捉えて公的研究費等の不正使用防止に向けての啓発や文部科学省からの公的研究費に関する通知等がなされていたにもかかわらず、公的研究費が保護者からの授業料や国民の税金等で賄われているという意識の低さや高専の教育研究目的のために使用しているのであれば許容されるであろうというモラルの低さ・甘さが、依然として教職員の中に存在していること。
 また、会計担当職員や取引業者の中には、会計に関する知識不足から、教員に便宜を図ることを優先させてしまい、適正な会計処理を行うというモラルの欠如が見受けられたこと。

(2)高専における教職員間あるいは学科間でのコミュニケーション不足により、公的研究費の使用ルールや事務手続きについての理解が不十分のまま会計手続を行ってしまったことが、不適正な会計経理に繋がったこと。

2 教員発注・納品検収体制の不備

(1)高専機構の会計規則上、「物品等の発注について会計担当職員以外認められていない。」ことが、当時、教職員に十分に理解されておらず、物品の納品検収体制が確立されていなかったことから、内部牽制機能が一部機能しておらず、会計担当職員が納品の事実を掌握できない状態であった。

(2)秋田高専では、法人化以前より、10万円未満の物品等の購入等にあたっては教員発注を認めており、取引業者が直接教員に物品と納品書を届けていたため、会計担当における内部牽制体制が機能しておらず、納品検収体制が構築されていなかった。
 これらを踏まえ、法人全体として平成24年3月の理事長通知「公的研究費等に関する不正使用の再発防止策の徹底について」の取組内容について、あらためて機構本部を含め全高専に対して確実な実施を徹底することとする。

 また、これらの取組を確実に実施することはもとより、文部科学省により「研究機関における公的研究費の管理・監査のガイドライン(実施基準)(平成19年2月15日文部科学大臣決定)」の改正通知(平成26年2月18日)があったことから、当該改正内容を踏まえ、特に、公的研究費等の使用ルールに関する教職員の意識の向上(日常的な教職員間のコミュニケーション不足の解消等も含む)に向けた取組みをあわせて構築するとともに法人全体及び各高専におけるガバナンスの強化・充実を図り、高専機構として同様の事例を繰り返すことのないよう実施していくこととする。

【Ⅴ 当面の対応】

(1)不適正な会計経理を行った教職員への処分
 不適正な会計経理に関与した教職員については、「独立行政法人国立高等専門学校機構教職員就業規則」に基づき処分した。

財源別内訳

(2)取引業者への対応
 公的研究費の不適切な経理に関与した取引業者に対しては、「独立行政法人国立高等専門学校機構物品購入等契約に係る取引停止等の取扱要領」に基づき厳正に対処することとしている。

(3)その他
 当調査委員会では、今回「平成24年度決算検査報告」に掲記された国立高等専門学校機構に対する不適正な会計経理のうち「預け金」及び「差替え」について、調査等を行ったところであるが、現在、全高専において、自主的に預け金等不適正な経理の有無に関する調査等を実施していることから、その調査結果の状況を確認した上で本委員会において検討していくこととしている。





【参考】調 査 委 員 会 名 簿(平成25年11月29日設置)
  委員長 上 月 正 博(独立行政法人国立高等専門学校機構 理事)
  委 員 後 藤 宏 平(独立行政法人国立高等専門学校機構本部 事務局長)
  委 員 鹿 又 仁 郎(独立行政法人国立高等専門学校機構本部 財務課長)
  委 員 山 田 宗 慶(秋田工業高等専門学校 校長)
  委 員 古 屋 一 仁(東京工業高等専門学校 校長)
  委 員 木 村 美 隆(田中・木村弁護士事務所 弁護士)
  委 員 横見瀬 春 樹(横見瀬公認会計士事務所 公認会計士)



上記についてのPDFはこちら[PDF]からもご覧いただけます。




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