OB・OGインタビュー

専で身に付けた知識や経験は、
セキュリティの仕事をしていくうえで役立っています。

千脇 貴之 さん

  • デロイト トーマツ サイバー合同会社
  • サイバーインテリジェンスセンター
  • 木更津工業高等専門学校
  • 2016年度 情報工学科卒業
  • 2018年度 制御・情報システム工学専攻修了
  • 情報セキュリティ大学院大学
    2020年度 修了

木更津高専を選ばれた理由を教えてください

コンピュータを専門的に学べるところという点で、千葉に住んでいたので木更津高専を選びました。
機会はあまりなかったのですが、コンピュータを触るのはおもしろく、どんなことができるかもっと知りたいと思って、制御工学と情報工学に興味を持っていました。

中学以前にパソコンを使った経験はありますか

初めてパソコンを触ったのは小学校の授業で、インターネットを使ってみよう、みたいなものでした。中学までは「プログラミング」という言葉だけは知っていましたが、実際にどのようなものかは、高専に入るまで知りませんでした。

在学中、情報系の授業で印象に残っていることはありますか

1年生で初めてプログラミングの授業を受けて、プログラミングとはこういうもので、言語というものを使って書くものなのだと学んだことが印象に残っています。
プログラミングはおもしろいのですが、難しくて、最初は授業についていくのが精一杯でした。すらすら書けるようになったのは3年生ぐらいになってからですね。

K-SECのイベントへの参加経験を教えてください

高知で開催されたセキュコン*に参加しました。他に、企業の方にリバースエンジニアリングの基礎を教わったことやSOCを見学したことが印象に残っています。

セキュリティ分野を知るきっかけとしては、4年生の時に情報セキュリティ大学院大学の田中英彦学長(当時)による講演を受けたことが大きいです。

卒業研究はどういうものでしたか

本科ではパスワードの強度に関するもの、専攻科ではスパムメールなどにひっかかってしまう心理について研究しました。

現在の進路を選ばれた理由を教えてください

まず、先ほどの情報セキュリティ大学院大学の先生の講演をきいて、そこでセキュリティについて深く学びたいと思い、進学を考えました。
専攻科に進学後、特待生制度もあったので、5年生の頃から行きたいと思っていた情報セキュリティ大学院大学に進学しました。
就職については、セキュリティの仕事の中で、知識を生かせるものとしてSOCの存在を知っていたので、今の仕事を選びました。

現在の仕事内容を教えてください

ネットワークを流れる通信や端末の挙動を監視して、異常時にあがってくるアラートを見て侵害されているのかどうか分析するということが、今の主な仕事になります。客先への対応は別のチームが行っているので、分析チームとして通信の挙動を見て、悪性のものか正常なものかを分析するというところから始めます。
大半は悪意のないものですが、まれに特定の攻撃手法が流行している場合などは、ニュースなどから知識として得ておいて、分析に活用します。

現在の仕事で在学中の経験が役立ったことはありますか

セキュリティの仕事をしていくうえで必要なコンピュータの基礎知識は、高専の情報工学科でしっかり身につけていたので、役立っていると感じます。
セキュコンに参加したことも学ぶきっかけになった点でよかったと思います。K-SECイベントでは、外の世界で実際に働いている企業の方の講義や講演を受ける機会があったことがとても貴重で新鮮でした。

情報セキュリティ大学院大学では、授業も研究もすべてセキュリティ関連のため、セキュリティ技術だけでなく、暗号や法律面やマネジメントなど、幅広く、深く学べたと思います。大学院では、学生といっても社会人の方が多いので、人前で話すことに慣れていたり、業界の情報を教えてくれたりしたことなど、いろいろと勉強になりました。

将来の目標を教えてください

まず現在SOCを経験しているので、今よりもっと高度な分析ができるようになりたいと思っています。
あとは職業選択の時にペネトレーションテスト方面と迷っていたので、一度そちらの方面も経験して、どちらにするかを決めていきたいと思っています。

後輩に向けてメッセージをお願いします

高専で基礎的なことは十分学べていると思うので、自分の興味のある分野をまず探して、そこをどんどん深めていくのが大切だと思います。
セキュリティといっても幅広い分野なので、自分がはまれるものを見つけてほしいと思います。


*KOSENセキュリティコンテスト
全国の国立・公立・私立の高等専門学校の学生を対象とした、情報セキュリティの技術を競うCTF形式のコンテスト

高専のセキュリティ人材についての印象や期待すること

デロイト トーマツ サイバー合同会社 サイバーインテリジェンスセンター長

佐藤 功陛

私はセキュリティ監視サービスを提供するSOCを運営していますが、高専卒業の皆さんは新卒で入社いただいて比較的早くに業務に慣れていただき即戦力として大変助かっています。

高専生の皆さんは英語が苦手な方が多い印象を受けますが、海外からの情報入手が非常に重要ですので、学生時代から英語に取り組んでもらえればと思います。

情報セキュリティ大学院大学 情報セキュリティ研究科 准教授 博士(情報学)

橋本 正樹

研究室を主宰していて、これまで多くの高専専攻科卒の学生を受け入れてきました。すべての学生が情報科学の基礎を高いレベルで習得しており、プログラミングやシステム構築等、手を動かすことにも長けていました。

教育者・研究者の情報セキュリティ人材不足も明らかですので、高専でセキュリティスキルを身につけ、さらに本学のような大学院で一層の研鑽を積み、研究者として活躍する人材が現れることを期待します。

ページ公開日:
2024/03/28

※記事内容はインタビュー時点(2023年11月~2024年2月)のものです。

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