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国立高専機構施設整備5か年計画

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国立高専機構施設整備5か年計画

平成28年6月
独立行政法人国立高等専門学校機構
理事長決定

国立高等専門学校(以下「国立高専」という。)の使命は、15歳入学から始まる5年一貫教育や寮生活を含めた豊かな人間関係の構築に加え、自律的・協働的な姿勢でグローバルな視野を持って社会の諸課題に立ち向かう実践的・創造的技術者の育成や、知的資産や技術的成果をもとに、地域や産業界のニーズを踏まえ、生産現場における技術相談や共同研究等の地域貢献を行うことである。国立高専の施設は、これらの使命を果たすための基盤であり、その整備充実を図っていくことは、我が国の将来を担う人材育成に欠くべからざるものであるとともに地方創生に貢献するものである。

国立高専の施設については、平成13年度から3次にわたり政府の科学技術基本計画を受けて策定された「国立大学法人等施設整備5か年計画」に基づき耐震化などの整備が図られ、第3次の同計画期間に構造体の耐震化率100%を達成した。

しかしながら、その現状は教室の狭隘解消や、寮の多人数部屋の解消などの課題の全てを解消するまでには至っておらず、創設時(昭和30年代後半から40年代前半)に半世紀前の基本設計で建設した施設を現在も主要施設として使用しているため、今日の教育研究に必要な機能と水準を備えているとは言いがたく、高専改革に伴う新たな取組を行う上での制約となっており、その施設面でのハンデを教育や実験上の創意工夫や教員の努力で補っているのが実情である。

また、5年後には建築後50年以上の老朽施設が半数を超えるとともに、基幹設備(ライフライン)の一層の劣化が進み、老朽状況が深刻な事態となるため、施設の老朽化がこのまま進行すれば、教育研究活動の中断や学生への怪我などが懸念される。

加えて、国立高専の施設は、「新たな高専教育課程の展開」、「社会実装など研究開発力を通じた地方創生の推進」、「理工系女性人材の育成」、「国際化の推進」等の一連の国立高専独自の教育改革(以下「高専改革」という。)への対応が求められており、これを可能とする施設の整備が喫緊の課題となっている。

厳しい財政状況の中、これらの課題に適切に対応していくためには、長期的な視点に立って計画的かつ重点的な施設整備を行うことが不可欠である。このような観点の下、文部科学省では、国立大学法人等(独立行政法人国立高等専門学校機構、国立大学共同利用機関法人を含む。以下同じ。)の施設整備について、平成28年3月に策定した「第4次国立大学法人等施設整備5か年計画(平成28~32年度)」(平成28年3月文部科学大臣決定)に基づき、計画的な整備を進めることとしている。

しかしながら、国立高専は学校運営、キャンパス立地、施設の老朽状況等において国立大学と異なる実態と課題を有するとともに、高専改革を進めていることから、同計画の基本的な方針を踏まえた上で、国立高専独自の施設整備計画を策定することとし、以下のとおり、国立高専の施設の計画的かつ重点的な整備を推進することとする。

1.計画期間
本計画の期間は、文部科学省が策定した第4次国立大学法人等施設整備5か年計画期間(平成28~32年度)とする。

2.基本的な考え方
(1) 国立高専の施設が高専教育の改革に対応する教育研究環境の整備など国立高専の施設の目指すべき姿を実現し、また、質の高い安全な教育研究環境を確保していくためには、国立高専の施設の現状や課題を十分に踏まえた上で、以下の考え方に基づき計画的かつ重点的な施設整備を推進していく必要がある。

第一に、高専改革に対応する施設整備を効果的・効率的なものとするため、各国立高専の特色・特徴や目指す方向性を踏まえ、拠点校やモデル校などに対し集中的に施設整備を推進していく。

第二に、老朽施設の改善は、既存施設の有効活用の観点から、原則として長寿命化改修により進めていくこととし、その際、機能強化や教育の質的転換に対してリノベーション(教育研究の活性化を引き起こすため、施設計画・設計上の工夫を行って、新たな施設機能の創出を図る創造的な改修をいう。)の手法を活用して対応していく。

第三に、限られた財源の中で効果的かつ効率的に整備を行っていく観点から、各事業の必要性・緊急性などを総合的に勘案した上で、原則として老朽化の著しい施設を優先して整備を進めていくことが重要である。

なお、保有面積の増加は維持管理コストの増大につながることから、改修や改築の際には施設の集約化による敷地の有効活用や保有面積の抑制を検討することが必要である。あわせて、削減した費用を教育研究水準の向上に資する環境整備に投資するなど、学校経営の視点を踏まえた施設運営を行うことが重要である。さらに、障害のある学生、地域住民、社会人、高齢者など多様な利用者が国立高専の施設を利用することに配慮することも重要である。

以上の点を踏まえ、高専改革に必要な施設整備である「機能強化等の変化への対応」、「理工系女性人材の育成への対応」、「国際化への対応」の3つの柱を重点的に取り組んでいくこととし、これらの整備に当たっては、安全・安心な教育研究環境の確保及び環境面への配慮を共通の方針として推進していく。

(2) 施設整備については、国から措置される施設整備費補助金による事業や独立行政法人大学改革支援・学位授与機構が行う施設費交付事業のほか、戦略的な施設マネジメント及び多様な財源を活用した施設整備をより一層推進する。

また、各国立高専は、長期的視点に立ってより効果的かつ効率的に施設整備を実施するため、機構本部等の指導・助言を得て、各国立高専の施設整備計画を一層充実するとともに、当該計画に基づく計画的な施設整備の推進に努める。

3.整備内容
国立高専の施設については、喫緊の課題である高専改革への対応を計画的に進めていく必要がある。また、耐震化を最優先で進めてきた一方で、平成27年度には、建築後25年以上の要改修面積が保有面積の約38.8%(約66万㎡)となっており、さらに本計画期間中に建築後50年以上の老朽施設が約50.6%(約86万㎡)に急増し、一段と深刻な状況を迎えることから、これらの老朽施設の改善を計画的に進めていく必要がある。

これらを踏まえ、以下を優先的に整備すべきものとし、重点的に施設整備を推進する。

なお、重点的な整備の目標については、老朽改善整備等の中長期的な試算を前提に、それらを計画的に整備することとした場合の仮定目標であり、今後の経済情勢事情、各整備の進捗状況等を勘案しつつ、弾力的に取り扱うものとする。

(1)国立高専の機能強化等変化への対応
-校舎、図書館、実習工場等の現代化-
国立高専の機能強化等のニーズに対応するため、施設の有効活用によりスペースを確保し、新たな高専教育システムに必要な学習環境整備を推進する。

特に、国立高専では既に教育課程の再編成、PBL 型授業、アクティブ・ラーニングの導入等の教育改革を進めており、効果的なアクティブ・ラーニングを実施するために流動性のある学習スペースを確保する観点から、既存校舎の教室や実験室をアクティブ・ラーニング仕様に転換していくことを推進する。あわせて、様々な教科・科目におけるアクティブ・ラーニングの導入に伴い、学生は自ら積極的に学ぶことが求められることから、情報集積拠点である図書館等に学生の主体的・能動的な学修を促す場としてのラーニングコモンズの設置を推進する。

また、ものづくり技術力の継承と発展に資する実験・実習・実技等の体験重視型教育や、地域貢献や企業との連携を加速させる社会実装教育を更に強化していくため、実習室や実習工場の現代化を推進する。その際、必要に応じてフレキシブルな施設利用が可能なオープンラボとしての機能を持たせることとする。

(2)理工系女性人材の育成への対応
-入寮待機女子の解消と教育寮としての環境改善-
高専改革において女子学生の活躍推進は重要な施策であり、女子学生の受入れ増への対応が急がれる。このことから、全人的な教育を行う役割に加え、女子学生の受入拡大や広域からの入学志願者の確保に重要な役割を果たしている女子寮の整備を推進する。その際、寮の男女入寮率(入寮伸び率)、入寮待機学生などの新たな需要、留学生との混住、教育寮としての在り方を勘案し、必要性の高い整備を重点的に実施していく。また、必要に応じて寮にもラーニングコモンズを配置するなど、教育寮としての効果を発揮できるよう配慮する。

(3)国際化への対応
-留学生の受入れ・グローバル人材の育成と高専教育制度の海外展開-
留学生の受入れについては、国立高専の第3期中期目標(平成26~30年度)において、政府の「留学生30万人計画」の方針の下で受入数の増大を図ることとしている。さらに、政府の「日本再興戦略2016-第4 次産業革命に向けて-」(平成28年6月2日閣議決定)において、東南アジア等への高等専門学校の海外展開を促進することとされており、当該戦略に基づく国立高専の国際化の新たな展開として、高専教育制度の海外展開を推進している。

このため、国際水準に比べ極めて低水準と言わざるを得ない既存の寮の現代化を推進する。その際、教育寮としての観点に立って、日本人学生と留学生が共に住まうシェアハウス型を導入し、日本人学生の国際理解向上を図る環境を整備していくこととする。また、優れた日本の高専教育システムを導入したいとの強い要望等に応えるために、海外の教員が日本で研修を受けるための拠点となる研修施設を整備する。

(4)安全・安心な教育研究環境の整備
老朽施設の改善は、安定した維持管理・更新を念頭に、耐震対策(非構造部材を含む。)や防災機能強化に配慮しつつ、原則、長寿命化改修により推進する。

また、通常の維持管理では対応できない老朽化に起因する機能劣化の著しい基幹設備(ライフライン)は、未然に事故を防止し学生教職員の安全・安心を確保できるよう、おおむね法定耐用年数の2倍を超えるものを今後10年で計画的に改善することを目指す。

さらに、国立高専が地域防災において一定の役割を担うことを踏まえ、教育研究環境の改善を図りつつ、地域の実情に応じ、地域住民が利用することも念頭に置きながら、安全・安心で質の高い施設整備を進めることが重要である。

(5)サスティナブル・キャンパスの形成
国立高専の施設整備に当たっては、平成27年度を基準として今後5年間でエネルギー消費原単位を5%以上削減するとともに、省エネ法に基づく基準よりも高い省エネルギー性能を目指した取組を推進する。

また、設備機器の更新時におけるエネルギー消費効率の改善、設備機器の稼働時間の変更、燃料等を使用する設備機器への転換を行うことにより、電気需要の平準化を推進する。

これらの取組を通してサスティナブル・キャンパスの形成を図るとともに、将来を担う学生に対する環境教育の場並びに最先端の知識を実践する場として、国立高専のキャンパスを活用していく。

上記の整備を行うための所要経費について、具体的な整備対象を特定せず、一定の仮定の下に試算した場合には、現時点で建物の整備(改修及び改築)が延べ面積で約33万㎡、基幹設備(ライフライン)の老朽改善が総延長で約111km と想定され、所要経費は最大約650億円と推計される。

4.実施方針
(1) 機構本部は、3.の整備内容を踏まえ、各国立高専が国から措置される施設整備費補助金による事業や独立行政法人大学改革支援・学位授与機構が行う施設費交付事業を要求するに当たり、地球環境への配慮や施設マネジメントの取組状況などを踏まえた上で、将来にわたって効果的かつ効率的な事業となるよう指導・助言を行う。また、施設整備によって得られた成果を把握することにより、本計画の進捗状況を適時確認する。

(2) 財政状況が厳しい中で、教育研究活動に要する財源を確保しつつ良好な教育研究環境を維持・確保するため、機構本部と各国立高専が連携して戦略的な施設マネジメントを一層推進する。

1) 施設マネジメントの推進
施設マネジメントをトップマネジメントとして制度的・組織的に位置づけ、理事長を始めとする経営者層や各校長のリーダーシップによる体制で実施する。また、学校・学科の枠を越えた横断的な体制を構築するとともに、機構本部がイニシアティブを発揮して各国立高専間との合意形成を図り、戦略的かつ実効性のある取組を進める。その際、ユーザーである学生や教職員が学校施設の計画・設計プロセスに参画することも、施設マネジメントとして重要な視点であることに留意する。

さらに、各国立高専の特徴や固有の事情に応じて、財務の現状と将来予測、既存施設の現状や施設に関する学内の要望を踏まえながら、クオリティ、スペース、コストの各々のマネジメントについて具体的な取組を検討するとともに、継続的に改善していく仕組みを構築する。

2) 施設の有効活用
全学的にスペースを管理することにより、目的・用途に応じた施設の需給度合いや利用率などを踏まえながら、経営的観点から既存スペースを適切に配分し、施設の有効活用を積極的に行う。

また、保有面積の増加は維持管理コストの増大につながることから、改修や改築の際には、可能な限り施設の集約化による敷地の有効活用や保有面積の抑制を図る。

3) 適切な維持管理
施設の維持管理コストの適正化への取組として、引き続き、同種業務の一括発注、複数年度契約への移行によるスケールメリットの活用、より競争性の高い入札方式への移行などのコスト縮減を図る。また、予防保全や維持管理コストの効率化で生み出されたコストを更なる整備や維持管理コストに転化する仕組みについて、機構本部に外部有識者、経営者層、施設担当部局及び財政担当部局の職員で構成するワーキング・グループを設置して検討を行い、その結論に基づき、国立高専機構全体の維持管理に関する新たな取組を推進する。

(3) 現下の厳しい財政状況の中で、国立高専機構施設整備5か年計画期間における整備目標を達成するため、国からの施設整備費補助金とあわせて、多様な財源を活用した施設整備を一層推進する。特に、産学官連携施設や職員宿舎など受益者に一定の負担を求めることが考えられる施設については、資金調達の方法や管理運営の形態などを比較検討し、民間資金等の多様な財源を活用した施設整備の可能性を検討する。

(4) (1)から(3)に係る各国立高専の取組については、国立高専全体が一法人というメリットを活かして機構本部が実態を調査し、その結果を各国立高専へ配布することとし、各国立高専は配布された客観的なデータを自校の課題や問題の抽出、今後の取組に活用していくことにより、実効性のある取組を進める。