2025.5.28 (wed)
令和6年度デジタルものづくり教育の強化事業年度末報告会を開催しました
令和7年3月24日(月)に阿南工業高等専門学校にて「令和6年度デジもの事業年度末報告会」を開催しました。本報告会は、ものづくり現場でのデータ活用に関する対談、各校の事例発表、教材の体験、設備見学、ワークショップを通じて、デジタルツイン、サイバーフィジカルシステム(CPS)といった先端技術への理解を深め、自校の教育改善に向けた具体的なアプローチを探求するものです。
以下にて、報告会の内容をお知らせいたします。
1. 製造業におけるデータ活用の重要性
オープニングセッションとして株式会社セールスフォース・ジャパンソリューション統括本部Tableau本部第二部部長の中南様とトヨタ自動車株式会社クルマ開発センターの相川様による対談が行いました。日本では海外と比較して、企業でのデータ活用が遅れており、学科や専攻分野などにとらわれず、データを活用できる人材育成が重要性であるとの意見があり、高専教育におけるデータに基づく人材育成の重要性を再確認しました。
2. 事例紹介による他高専との連携の可能性の提示
仙台高等専門学校ではデジタルツイン技術を事業軸(品質・効率の追求)と製品軸(ものづくり)の2つの側面で活用することで、製造業におけるDX化を推進できる人材育成を目標としてきました。令和6年度は、デジタルものづくりに関する教材の開発・改善と他高専展開の基盤構築を行いました。
また令和7年度以降は、仙台高専の2つのキャンパスを連携し、広瀬キャンパスのシミュレーターで名取キャンパスのロボットを遠隔操作するための基盤技術の開発に着手し、デジタルツイン体験環境の強化を検討していると報告しました。
3. 育成したい資質・能力を見据えたカリキュラム設計へ向けた意識醸成
ワークショップでは、カリキュラムツリーやカリキュラムマップの作成を通じて、育成したい資質・能力を見据え、個別授業に閉じずにカリキュラム全体のデザインを意識したデジタルツイン教育を行うことの必要性を実感しました。
今後も、本報告会で得た成果を踏まえ、各高専内の活動にとどまらず、産業界など学外の力も借りて教育を実践し、高専発デジタルものづくり人材を生み出す体制づくりを行います。

事例紹介を行う仙台高専 鈴木准教授