卒業生インタビュー

本当にやりたい事を一番早く熱量を持って実行を

NOTAHOTEL株式会社 代表取締役CEO

濱渦 伸次

都城工業高等学校専門学校 電気工学科2004年度卒

現在の事業の概要やその特色を教えて下さい。
「NOT A HOTEL(ノットアホテル)」という会社は、自宅でもあり別荘でもあり、時にはホテルにもなるという新たな暮らしの拠点をつくる企業です。オーナーは自宅や別荘として利用する物件を、使わない際にはホテルとして貸し出せる仕組みです。これをスマートフォンでのワンクリックで切り替えが可能なサービスとして提供しています。オーナーは 30 日から 360 日の範囲で自分が利用する権利を買い、それ以外は貸し出すオーナー制別荘のようなイメージで、それをデジタル対応化したビジネスです。
最初のプロジェクトは完売したそうですね。
リゾートホテルのような物件の完成予想画像が弊社のホームぺージに掲載されており、購入希望者は気に入った物件をオンラインで直接購入可能で、購入希望者が一定数集まった段階で着工します。完成時には建設資金を回収しているうえ、販売コストがかからずにその分を建築やサービス面の充実に振り向けるというビジネスモデルです。初めに立ち上げたプロジェクトは宮崎市と栃木県那須での事業で、那須の事業は当初の 1 カ月で約 16 億円分を完売しました。宮崎市のプロジェクトの販売も約 15 億円まできています。この会社は 2020 年 4 月の創業ですが、販売開始後すぐに約 30 億円を売り上げたことが軌道に乗った大きな要因でもあります。国内では 22 年度中に福岡市、静岡県熱海市、群馬県の北軽井沢地区で計画を進めており、沖縄県などでも準備中ですし、海外でも各地に拠点展開をして将来的には株式上場したいと考えています。
この事業の前にアパレル EC 制作会社「アラタナ」という会社を創業されました。
07 年頃に小さなアパレルショップが EC サイトを開設すると数百万円の費用が必要でした。そこで私たちは初期費用を無料にして月額5800 円で EC サイトが開設できるビジネスを開始しました。その事業を展開する会社が「アラタナ」で、数年で数百店舗に利用してもらうまでに成長しました。その頃、同様にアパレル EC サイトを展開していたスタートトゥデイ(現 ZOZO)から買収オファーを受け、約 30 億円で売却し、同社のグループ企業となりました。私は 15 年から 20 年までZOZO グループ会社の社長をしていて、20 年に独立しました。
そもそも都城高専(電気工学科)に進学された理由は。
TV で「ロボコン」を見ていたこともあり、小さなころから高専に進学したいと思っていました。他にもパソコンやデジタル分野に大変興味を持っていましたので、宮崎で一番楽しそうな学校ということで高専に決めました。普通の高校とは違い高専の 5 年間の学生生活では一生付き合える素晴らしい仲間ができましたし、私の場合は 3 年間寮生活もしたので、その経験は今でも組織運営や人間関係を考える時に非常に生きていると思っています。最近は高専出身の創業社長も増えていますので、そうした方々と一緒に何かをしたり、応援したりできればなと思っています。
最後に高専生へのメッセージをお願いします。
高専は非常に就職しやすい環境にあります。ただ、「起業」という選択肢も含めながら一緒に過ごす仲間を大切にして 5 年間を過ごして下さい。ベンチャーへの投資家も最近は多いですし、在学中の起業もいいと思います。起業の際には、自分が本当にやりたい事を一番早く熱量を持って実行することが勝ちにつながります。一緒に頑張りましょう。

濱渦 伸次

はまうず しんじ
リコーを経て 07 年に株式会社アラタナを創業し代表取締役社長に就任。15 年スタートトゥデイ(現 ZOZO)にアラタナを売却。20年NOTA HOTEL を創業。