卒業生インタビュー

「web3」や「6G」時代にも面白いものを作り続けたい

Zホールディングス株式会社 専務執行役員 Co-GCTO(Co-Group Chief Technology Officer)AI CPO

藤門 千明

沼津工業高等専門学校 制御情報工学科 2000 年度卒

貴社の現在の概況を教えて下さい。
Z ホールディングス(HD)は、ヤフーをはじめ、2021 年 3 月に経営統合したLINEや、ZOZO、アスクル、PayPay などを傘下に抱える持ち株会社です。「UPDATE THE WORLD情報技術のチカラで、すべての人に無限の可能性を。」をミッションに掲げ、e コマース、検索・ポータルサイト、メッセンジャー、フィンテックなどメディアから通信までを網羅し、現在、約 230 の国と地域で事業を展開する日本最大級のインターネットサービス企業群です。その中で私は、Co-GCTO を務めているほか、プロダクト成長の経営体制強化を目的に新設された役職の 1 つ「AICPO」も担っております。
経営者として仕事上、常に心掛けていることがあれば教えて下さい。
グループの最高技術責任者や「AICPO」として全般を見ながら事業を行う際には、コミュニケーションをより強く意識しています。経営メンバーはエンジニアではありませんが、一方でエンジニアは最先端の技術を学んでいると、難しい技術の言葉をそのまま説明に使ってしまうことが結構多くあります。そうしたときに、その技術は本質的に何が可能なのかを、簡単な言葉で本質を経営メンバーに伝えられるように常に心掛けて仕事をしています。
そもそも高専に進学された理由は。
中学 3 年生の秋にウインドウズ95 が発売されました。当時、テレビニュースを見ていると、深夜にコンピューター好きが東京・秋葉原の店舗に並んで、「これはすごく面白い」「今日は徹夜でセットアップする」と興奮して言っている映像が映り、何か世の中で大変なことが起きそうな雰囲気を感じました。すぐに調べると、従来とは全く違うインターフェースでインターネットに触れることができると分かり、これが高専で学べるというのが大きな理由の 1つです。もう一つは父親が建築業をしていて「ものを作る仕事は格好いい」とずっと思っていたこともあり、コンピューターで何か作れる学校で学びたいと考え進学を決めました。
会社経営を行う中、高専での学びで役立っていることはありますか。
日々多くの社会や経営の課題と向き合っていますが、課題の正解が何か分かりませんし、課題の答えがないかもしれません。そもそも課題設定が間違っている可能性もあります。私は高専での実習や卒業研究などで「課題は何か」「何が理解できていて何を理解していないか」「課題解決への次のアクションは何か」など、課題に向き合うフレームワークを徹底的に叩き込んでもらいました。経営者となった今、このフレームワークが実に生きていると実感しています。
個人として今後の抱負や夢をお聞かせ下さい。
1 人のエンジニアとしての「夢」はこれから起きる新しい技術の変化、例えば次世代の「web3」や「6G」、あるいは「量子コンピューター」などが実用化されるとき、それらの技術を使いユーザーから「面白い」と言われるものを作り続けていたいですね。多くのユーザーとその価値を共有できればと思っています。
最後に高専生へのメッセージを。
高専に入学しての初めてのネットサービスが「Yahoo ! JAPAN」でした。その会社に入社し、心を込めて作った Web サービスを多くのユーザーに利用してもらったとき、平凡な 1 人の高専生の夢が叶った瞬間であり、その感動は何ものにも代えがたいものがありました。高専生の皆さんが充実した日々を過ごし、たくさんの知識や経験、そして「あれをやりたい」といった夢やそれを実現する仲間をつくってもらえると、大変素晴らしい 5 年間になると思います。

藤門 千明

ふじもん ちあき
沼津高専卒業後、筑波大学大学院卒。ヤフー株式会社に入社。2015 年同社 CTO。現在は ZHD の共同 GCTOとして約 6500 人のエンジニアを率いる。