卒業生インタビュー

誰か一人の心を震わすとき世界が変わる

株式会社コノテ 創業者・弁護士

山田 邦明

津山工業高等専門学校 情報工学科 2005 年度卒

現在の活動概況を教えて下さい。
大きく分けると 3 分野になります。まずは独立のクリエーターの管理業務を支援する会社「しろし」とその法律面をサポートする「しろし法律事務所」での各種クリエーターのビジネスマネジメント部分を支える仕事です。この関連では今年 5 月に『クリエーター 1 年目のビジネススキル図鑑 』(KADOKAWA 刊 )を出版しました。2 つ目は「コノテ」という会社で「無花果(いちじく)プロジェクト」という教育の一環として高卒資格を取得できるフリースクール「無花果学園」を開校しました。また、総合型選抜入試の個別指導塾や、地元岡山県出身の学生(東大・京大生など)によるオンライン方式の家庭教師も展開しています。3 つ目は瀬戸内 VC というファンドを設立して瀬戸内地域のスタートアップに出資し、株式上場や M &A などのイグジットまで伴走する事業も手掛けています。
そもそも高専に進学した理由は。
当時、本格的なインターネット時代が到来するといわれ、私もインターネットの世界はめちゃくちゃ面白いと感じていましたから、担任の先生と相談し、いわゆる難関校の 1つだった津山高専の情報工学科にチャレンジすることに決めました。
その後、筑波大学、そして京都大学大学院へと進学され、弁護士になられました。
振り返るときれいな一本の道のように見えますが、当時は興味の赴くままに勉強していました。その頃、社会的にも注目されたライブドア事件が起きたこともあって、経営や法律に強い興味を持ちました。それで経営は筑波大学第三類社会工学類で、法律は京都大学法科大学院で学び、26 歳のとき司法試験に合格しました。当初から弁護士のキャリアを目指すというより経営と法律を学びたかったというのがそもそもの動機です。弁護士として始動するとき、一番魅力的に見えたのはインターネットの未来を信じる同年代がいるIT 系スタートアップでした。自分もプレーヤーにならないと面白くないということですかね。結局、外部から弁護士としてサポートするというよりはプレーヤーとしてサポート役とは違ったところに行きたいと思っていました。その後、筑波大学時代の友人が立ち上げたソーシャルゲーム会社「アカツキ」で法務部の設置や IPO などを担当。約 6 年で上場に成功しました。
上場貢献後に地元に戻り起業します。その背景をお聞かせください。
アカツキ在籍当時は、いわば超成功事例の真ん中にいた感じでした。何か足元がフワフワしているように思えました。30 歳の頃でしたが、もう一度ゼロから考えてみようかなと。そして現在のクリエーター支援事業や教育事業、地域投資ファンドなどを始めることになりました。
高専とのコラボレーションなどはお考えですか。
高専生はもっとスタートアップへのインターンを実施した方がいいと思います。その受け入れ企業とのマッチングを実施したいと考えています。ファンドで関わりのある企業や、オンラインによる全国規模での展開など、高専全体のインターン希望者をスタートアップに紹介できればと思っています。
最後に高専生へのメッセージを一言お願いします。
世の中は偶然で起こることが沢山あります。未来を狭い枠に入れない方が多くのチャンスに出会えます。理系出身でも弁護士にもなれますし可能性を広く持って下さい。「社会を変えよう」と考えたとき、自分が一番影響を与えられる身近な人のことを忘れがちです。誰か一人の心が震えた瞬間に世界が変わっていくことも忘れないようにして下さい。

山田 邦明

やまだ くにあき
筑波大学を経て京都大学法科大学院を修了、弁護士に。「アカツキ」のIPO 主担当として上場に貢献。その後、地元に戻り起業。現在、しろしCEO、しろし法律事務所代表弁護士、コノテ CEO、瀬戸内 VC などを通じスタートアップの支援も。