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卒業生インタビュー

社内に「佐野研究室」を新設新領域の事業開発に挑戦中

株式会社ヤプリ 共同創業者・取締役

佐野 将史

東京工業高等専門学校 情報工学科 2003 年度卒

ヤプリの現在の事業概況を教えて下さい。
ヤプリはスマートフォンのアプリ開発・運用・分析をノーコード(プログラミング不要)で行えるアプリプラットフォーム「Yappli」を提供する会社です。ヤプリの創業から 9年で「Yappli」を導入する会社は600 社以上となり、「Yappli」で開発されたアプリの累計ダウンロード数は 1 億を超えました。スマートフォンの画面には利用企業名やブランド名だけが表示されるため気づかれにくいのですが、実は皆さんも 1度は「Yappli」で開発されたアプリを利用したことがあると思います。
「Yappli」の特徴は。
ユーザは、ブラウザ上の管理画面にアクセスし、表示される「機能設定」「デザイン設定」「コンテンツ管理」「アプリ登録」などに配置された項目をブラウザ上でドラッグ&ドロップするだけで、多彩な機能を持ったスマートフォンアプリを簡単に作成することができます。
ヤプリ起業までの経緯は。
新卒でヤフーに入社後、個人的にスノーボードのアプリを趣味として作っていました。その頃、同僚の庵原保文氏(現ヤプリ社長)から、「趣味のスノーボードの技を簡単に見ることができるアプリを作りたい」と声をかけられ、作成したアプリが2010 年冬のスポーツカテゴリーで売り上げ 1 位になりました。その時に個々人が、アプリの技術を学び開発するのは大変だと感じ、誰でも簡単にアプリを作れるプラットフォームを作ろうと思いました。その後、有名スノボブランドからイベント専用アプリの作成を依頼され、それを開発していたベータ版「Yappli」を活 用 し て 完 成 さ せ ま し た。 こ の「Yappli」の開発は、技術的な試行錯誤も必要であったため、約 2 年を要しました。2013 年にヤフーの出身者 3 名でヤプリの前身である「ファストメディア」を設立後、「YJ キャピタル(現 Z ベンチャーキャピタル)」から出資を受けることに成功し、ヤプリを創業しました。
業績は右肩上がりで成長し、上場も果たしました。
実は開発当初からの 2 年間は、中小企業や個人商店などを想定した販促が上手くいかずに、「Yappli」はほとんど売れませんでした。普通のエンジニアなら心が折れるところですが、とにかく諦めずに開発を続けました。2015 年ごろからターゲット層を大企業に切り替えたところ、大手アパレルを顧客として獲得でき、それがその後の急成長の原動力となりました。今では国内大手自動車メーカーも顧客になっています。
今後の計画や夢を教えて下さい。
アプリ開発から上場まで一気に駆け抜けてきました。今は自分でコードを書かなくても事業が回るようになったので、私だけが所属する「佐野研究室」を社内に設け、そこで新たな事業のシーズを見つけようとしています。
高専教育などへの要望は。
高専生は能力の割に自信がありませんので、訓練の場として学校外に向けてアピールする機会を沢山設けるといいと思います。また、高専生は大学生と同等以上のことを学びます。高専卒業者が「大卒」として社会に認められるようになれば、さらに「とがった人」が高専に集まるのではないでしょうか。
高専生へのメッセージを一言お願いします。
高専生は自分で作りたいものを作れます。欲しいものを他の人間に作ってもらう必要がない、というのは、実は圧倒的なアドバンテージなのです。大きな野望を抱きつつ、楽しみながら目の前のことに取り組んで下さい。大きなチャンスが来た時、それに飛び乗ることができれば素晴らしい所へ行けると思います。

佐野 将史

さの まさふみ
東京農工大学工学部・同大学院修士課程修了後、ヤフー入社。2013 年「ファストメディア(現ヤプリ)」を共同創業。2022 年 1 月、アプリが累計1億ダウンロードを突破。