祝賀メッセージ

高等専門学校 60 周年記念誌への寄稿

独立行政法人 大学改革支援・学位授与機構 機構長

福田 秀樹

高等専門学校が実践的・創造的技術者の育成を目指して昭和 37 年に創設され、これまで 60 年の輝かしい歴史を刻まれてこられたこと、とりわけ、全国の高等専門学校が多くの有為の人材を輩出され、国内外より高い評価を受けておられることに対して衷心より敬意を表します。

独立行政法人大学改革支援・学位授与機構は、大学以外で学位を授与する唯一の機関として、平成 3 年 7月の学位授与機構の設立、大学評価・学位授与機構への改組、平成 28 年度の独立行政法人国立大学財務・経営センターとの統合を経て発足し、昨年には創設時から数えて 30 周年を迎えました。この間、学位授与事業については、創設当初より一貫して実施しており、平成 27 年度には「学士の学位の授与に係る特例」制度に基づいた学位授与も開始いたしました。これにより、高等専門学校専攻科に進学し、当機構で学士の学位を取得された方々は、当初の 44 名に始まり年々増加し、令和 3 年度には 1,547 名に達しており、これまでに総計 31,804 名もの方々に学位の授与を行うに至っております。高等専門学校専攻科で学習を積み上げた方々が我が国の産業界を担うかけがえのない重要な人材として活躍されていることに対して改めて敬意を表しますとともに、当機構が学位授与事業を通じて我が国の産業界を支える人材養成に今後も貢献してまいる所存です。

また、当機構は、平成 16 年度に発足した認証評価制度に基づき文部科学大臣から認証された評価機関として、評価事業を実施しております。平成 17 年 7 月には、高等専門学校の評価を行う機関として文部科学大臣から認証され、これまでに申請いただいた延べ 167 高等専門学校に対し、教育の質の保証や、教育研究活動の改善、社会への説明責任と理解促進を目的として評価を実施いたしました。昭和 37 年の設立以来、60 年の歴史の中で、有為な人材を輩出され、多くの研究業績を積み上げてこられた高等専門学校の教育研究活動の更なる向上のため、引き続き認証評価を通じて今後も貢献してまいる所存です。

高等専門学校は、その設立当初においては、我が国の戦後経済を支える技術人材を育成するために大きな期待が寄せられました。最近では、「我が国の未来をけん引する大学等と社会の在り方について―教育未来創造会議第一次提言」において、「人への投資」、特に理工系人材育成が重要な柱として位置付けられ、施策として「デジタルなどの成長分野における定員増等、産業界や地域のニーズ等を踏まえた高専や専攻科の機能強化」が求められる等、デジタル、人工知能、グリーン等の産業分野における高等専門学校への期待は日々高まるばかりです。

高等専門学校が、国内外に向けた知の拠点、人材育成の拠点として、将来にわたり、ますます発展されることを祈念し、お祝いの言葉とさせていただきます。