祝賀メッセージ

高等専門学校制度創設 60 周年に寄せて

一般社団法人 日本技術者教育認定機構 会長

富田 達夫

高等専門学校(高専)制度創設 60 周年を迎えられたこと、心よりお祝い申し上げます。
高専が創設された 1961 年は高度経済成長が始まって間もない時期にあたります。以来、高専の卒業生は産業界の様々な分野で技術者として活躍され、日本の経済成長に大きく貢献されてきました。60 年経った現在、少子化や発展途上国の追い上げなどもあり、世界における日本の技術力や経済力の立ち位置は決して安泰とは言えない状況にあります。しかし、こういう時代だからこそ、実践的技術者の育成に主眼を置いた高専教育の役割はますます重要になっていると言えます。

日本技術者教育認定機構(JABEE)は 1999 年に設立され、高等教育機関(学士課程、修士課程)の技術者教育プログラムの認定を行ってきました。特に高専(本科と専攻科を合わせた教育プログラム)はJABEE の認定事業開始初期から積極的に認定の取得に取り組まれてきました。このことは、高専教育が単に学問としての知識だけでなく、JABEE が求めているデザイン能力などの技術者として必要な能力を身につけさせることを重視している証であることに他なりません。

近年国立高等専門学校機構(高専機構)はアジアの発展途上国に日本型高専教育制度(KOSEN)を導入する事業を行っておられます。これにより設置されたモンゴルの KOSEN を卒業した人が日本の企業に就職し、また日本の大学や高専専攻科に進学する例も多く、その旨新聞等でも採り上げられたのを拝見しました。こうして日本と同様の高専教育で学ぶ海外の学生と日本の高専の学生が交流できる環境が整えば、日本の学生にとっても国際的な視野が広がり、技術者の国際的流動化にも対応できるような人材の育成に大きな効果があるものと期待しています。

高専機構は現在、各高専本科に対する第三者評価の仕組みを構築されており、JABEE はその仕組みが適切に構築、運用及び維持されていることを評価し認証することで合意いたしました。さらに、JABEE の認定審査において本科部分に関しては上記の第三者評価の結果を活用することで、この認定審査に関わる受審校の負担を軽減することを目指して具体的検討を行っています。

これからも高専機構と JABEE が高専教育の質保証のために互いに協力していくことにより、日本における国際的に通用する技術者の育成に貢献できることを心から願っています。