祝賀メッセージ

高等専門学校創立 60 周年にあたって

国立大学法人 豊橋技術科学大学 学長

寺嶋 一彦

高等専門学校(高専)が創立 60 周年を迎えられましたこと心よりお慶び申し上げます。高専は社会の期待に応えながら大きく発展され、日本の教育界や地域社会で確固たる地位を築かれたことは関係者の皆様の熱意とご尽力の賜物であり心よりお祝いを申し上げます。

高専卒業生を更に高度な人材に養成することを目的に技術科学大学が長岡と豊橋に 1976 年に設立されました。現在、本学修士修了生 71 名、博士修了生 52 名が高専教員に、高専校長に 6 名なられております。高専の 60 周年は私共にとりましても喜びと誇りを感じるところです。

さて、高専で完成教育を受けた学生が次の進路として選ぶ道も選択の多様性ができ素晴らしいことと思います。本学が高専からの期待に応える大学であるには、高専生をさらに高度に教育し、グローバルに活躍しイノベーションを起こせるリーダー人材として社会に送り出すことであると思います。

本学の強みは、開学以来、半導体を材料からチップまで、設計、試作、製造ができ、それを元に半導体型センサ・デバイスの研究では世界のトップクラスの実績をあげていることです。文部科学省の「次世代X-nics 半導体創生拠点形成事業」に、東京工業大学、広島大学、本学の 3 大学で共同応募し本年採択され、次世代半導体教育・研究を一層活発にしてまいります。また 2020 年度民間からの研究者 1 人当たりの共同研究費獲得額では、全国 1 位になるなど産学連携が活発で、ロボット、農工・医工連携など異分野融合に強みを持っていますが、これは高専生の優秀さのお陰でもあります。国際連携では、留学生の受け入れ数は、学生約 2000 名のうち 300 名程度です。一方本学からの海外派遣は、学部 4 年生で実施している実務訓練のうち 80 名程度が海外で行っています。大学院では、博士学生はほぼ全員、修士学生もかなりの数が海外で論文発表をしています。大学院博士前期課程においては、ダブルディグリープログラムとしてシュトゥットガルト大学、東フィンランド大学と、またトリプルディグリープログラムとして、フィンランド、フランス、ベルギーのうち 2 か国の大学および本学と合わせ 3 大学の修士学位が取れる事業を実施しています。留学は学生の語学力にも依存しますが、高専生の英語力は近年随分向上してきており海外交流が活発化してきています。課外活動も積極的に行うことを推奨していますが、ロボコン同好会は本年 NHK ロボコンで全国 1 位になると共に、通算 7 回の優勝と全国 1 位の実績を持っている等、高専出身者が大活躍してくれています。日本経済新聞社と就職・転職支援の日経 HR が実施している人事が見る大学イメージランキング「採用を増やしたい大学ランキング」で本学が 2 位となりましたが本学 OB も産業界で大活躍しています。

教育は、高専の教育との接続を考えた他大学にない重複を避けたシームレスなカリキュラムの構築、また研究は、高専・大学・産学・国際連携を積極的に取り込んだ共同研究を推進し、実装力、応用力に卓越した世界で光る工科系大学を目指し、我が国の科学技術の発展に貢献していく所存でございます。

最後になりますが、高等専門学校が更なる発展を遂げられることを祈念し、お祝いの言葉といたします。